青山

エレクトリック・ドリームの青山のレビュー・感想・評価

エレクトリック・ドリーム(1984年製作の映画)
3.7
「her/世界でひとつの彼女」のことを話してたら、これを勧められました。

80年代、最新のパソコンを買った主人公は、突然オーバーヒートしたパソコンにびびってシャンパンをかけてしまう。すると酒を吸ったパソコンは自我を持ってしまう。
パソコンはやがて主人公の恋人のことを愛するようになり......。

今だったらそんなに驚かない設定ですが、制作年が1984年ってのを見ておっ魂消ましたよ。自分が生まれる10年も前にこんな映画があったとは......。

わりとライトなコメディタッチの仕上がりにはなっていますが、テーマは深く、演出もイカしててなかなか思わぬ拾い物でした。

まず、音楽がいいです。
特にパソコンとヒロインの"出会い"のシーンは出色。全体にYMOのファースト(インベーダーのやつとか)みたいなピコピコした電子音がカッコいいです。昨今の80sブームの中で本作が発掘されたのも納得ですね。最後にかかるテーマ曲も歌詞の内容がそのまま映画の内容を表してる懐かしい感じの演出になっていて余韻に浸れました。

また、機械の愛を描いているため、「愛とは何か?」というのがひとつの大きなテーマになっています。このテーマに対し、ラストでエンタメとして分かりやすく尚且つ普遍的な答えが出されていて、不覚にもしんみりしてしまいました。

B級色満点ですが、設定の面白さ、キャラの魅力、展開やテーマのわかりやすさは子供から大人まで普遍的に楽しめる良作だと思います。
青山

青山