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黄金の棺のエディのレビュー・感想・評価

黄金の棺(1966年製作の映画)
3.9
マカロニ・ウェスタンの名匠セルジョ・コルブッチの代表作品。南北戦争時代に、敗色濃厚だった南軍を立て直すために、南軍シンパの家族が北軍の現金護送車を強奪して自軍に届けようと奮戦する物語。邦題は映画の見所をネタバレさせてしまっているが、原題「Hellbender」は「向こう見ずな奴」といったニュアンス。
ジョナスと息子達とジョナスの愛人キティは北軍の現金輸送隊を遅い巨額の現金を手にする。北軍陣地のど真ん中から南軍まで持っていくには北軍や自警団の厳重な警備をかいくぐる必要があるので、キティを死んだ北軍大尉の未亡人に扮装させ、大尉の棺に現金を詰め込んで持ち帰る作戦を立てていたのだ。しかし、キティや息子達はなかなかジョナスの思い通りの動かないので幾度も危機が襲い掛かる。。。

荒野の放浪や戦闘シーンがメインなので、あまり金が掛かっている感じはしないが、締まって緻密な脚本のお陰で緩急のハラハラドキドキがあって実に面白い。戦闘シーンも面白いが、一息ついて町に行った時に、偽装した故大尉が良く訪ねる場所だったので知人が一杯いたとか、「緩」のシーンだと思っていたら突然はらはらするような仕掛けに満ちている。
結局、南軍を再建させたいという強い意思を持っているのは主人公ジョナスだけで、息子たちは金より女に興味があるし、愛人は金に興味がある。そんな中で腹違いの息子ベンだけがまともだったが、キティの代役として調達した女クレアと出来てしまたりとか、アクションだけでなく、ロマンスやコメディ的なモノも上手く取り入れている。

このまま逃げ切れるかと思いきやのラストの喪失感は半端ない。

「ここで終るのか?」

悲劇でもハッピーエンドでもないなんとも虚しいあっけない幕切れ。全てが泡沫のように思えてしまう。

古い映画だが、実に見応えがある。
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