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レポマンのmegusukeのレビュー・感想・評価

レポマン(1984年製作の映画)
3.2
パンク青年、職に就く+宇宙人を巡る政府と秘密組織の対立映画
またはヒッピー文化の衰退を悲しんだ層が作った映画。

レポマンとは、車のローンを払えない人々から、借金の肩代わりに車を回収する職業である。

舞台は多分アメリカ南部の田舎。
①とある道路を走る白いシェビー・マリブ。ヨロヨロとした走りを不審に思い、警官が職質。運転手は、片側が割れたサングラスをかけ、挙動不審な初老の男。荷物検査でトランクを開けると、目も開けられない眩しさの中、警官は履いていたブーツと、そこから登る煙を残し、消える。
②スーパーの店員をクビになった青年オットーは、良くも悪くも青いパンク野郎。ひょんな事から、やり口が強引で如何にもテンプレな南部のオッサン連中が営むレポマンの会社に誘われる。借金という大義名分のもとに、やりたい放題する「ダサい」職業という認識なのか、「誰がなるか!」と捨て台詞を吐いてその場を去るが、親が新興宗教にハマり、金銭的な援助が望めなくなったことが発覚し、年齢無記名の免許証(自称21歳、本当は18歳)を片手にレポマンになる。若さ故の生真面目さとやんちゃさを兼ね備えていたオットーは、ヤンチャを拗らせたおっさん社員達にも気に入られ、スーツ姿もこなれていく。

一見接点のない①と②が悪魔合体し、絡んでいくと言う話。
予算も少なそうで、特殊効果なんかから手作り感が溢れるが
画面のショットや会話の節々は、現代でも見劣りしないセンスを感じるし
①はSFホラーもの②は成り上がり青春ものとして、単体で楽しめるポテンシャルがあるので、これ絡ませなくてもいいのでは?と途中まで思っていたが
この作品では反体制で自然回帰(ヒッピー的な)な思想の人々が善しとされてるみたいで(時代を感じるなぁ)、普通に観ていると彼らはおかしい人にしか見えないし、不遇。
そんな彼らが報われる為の仕掛けとして、①のSF要素が必要不可欠になる。
と私には読めた。

字幕は即席感が凄いし、変な映画なんだけど、60年台当たりのアメリカ文化の衰退を憂いた80年台アメリカ映画って感じの荒廃具合が癖になる映画でした。
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