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フットルース 夢に向かってのchunkymonkeyのレビュー・感想・評価

3.0
80年代を代表する青春ダンス映画の名作リメイク版、主演の男女にはダンサーを起用しレベルアップしたパフォーマンスが楽しめます。がしかーし、控えめに言ってかなり衝撃的なリメイクでした... ただし、本作の方が好きな方もたくさんおられると思いますので、どうぞお気になさらず見比べて楽しんでくださいな。

リメイク映画には(1)ストーリーはもちろん、舞台設定、各シーンほぼ完コピで時代に合わない部分と映画のテイストだけ現代風にアレンジ(直近だと「ウエスト・サイド・ストーリー」がこのパターンに近い)、(2)大枠の設定とストーリー展開、アイコン的なシーン・要素のみ残し、リメイクにあわせた時代と場所に変更して完全に作り変える(「コーダ あいのうた」などほとんどの外国映画ハリウッドリメイクはこのパターン)、の2種類があります。

本作ですが、ほとんどのシーンでセリフも画面も完コピ状態にも関わらず、舞台は現代で場所の設定も変更どころか、元のストーリーを有名無実化するという謎の行動に出ています。びっくり...

オリジナルの映画を復習しますと、「強権的な教会の牧師が支配するど田舎で、彼の悲しい過去をきっかけにダンスや音楽などの若者の娯楽が法律で一切禁止され、町全体に閉塞感が漂う中、シカゴ育ち都会っ子のダンス好きな主人公がやってきてダンスを復活させ革命を起こす」という映画でした。

映画評に「そもそもこの町の人々は定められた法に従っていないのだから設定が崩壊している」と指摘しているものがありましたがその通りです。どういうことか上記のオリジナル版映画紹介を一つ一つ検討してみよう。

強権的な教会の牧師が支配するど田舎で
→みんなに嘲笑われ、浮いてしまっている牧師がしょんぼりするど田舎で

彼の悲しい過去をきっかっけに
→そんなに悲しくないけど政治家気取りで家族の悲劇を利用する彼に

ダンスや音楽など若者の娯楽が法律で一切禁止され
→いろいろ禁止されたらしいけどそんなの関係ねぇで充実した娯楽活動を楽しみ

町全体に閉塞感が漂う中、
→ジョージア州の温暖な天気に、若手ポップ・カントリー歌手のMVさながらのキラキラ気分の中、

シカゴ育ち都会っ子のダンス好きな主人公がやってきて
→しけた古都ボストンからだっせぇプロダンサーがやってきて

ダンスを復活させ革命を起こす
→元々オフビートな感じでゆるーく楽しんでいたダンスを公式イベント化した。

誰得!?(笑)

その答えはウィラード役のマイルズ・テラー。ホント原作とそっくりで、しかもオーラもあって完全に主役を食って、大変輝いておりました。ダンスの練習シーンは繰り返しみたくなるほど最高です!

自分も人権を持ったコミュニティの一員であることを高らかに宣言する"My name is Ren McCormack."という原作で最も有名なセリフの消えてしまった重みも悲しいですが、それ以上にリメイクでなくなって一番悲しかったのは、車に初々しくエスコートした後にドアを蹴って閉める微笑ましい場面。あんだけ完コピしといてなぜそこ変えた?
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