すずき

天才マックスの世界のすずきのレビュー・感想・評価

天才マックスの世界(1998年製作の映画)
4.5
アメリカ名門ラッシュモア高校に通う、稀代の問題児「天才」マックス。
彼は特待奨学生で、理事長ブルームのお気に入り。
傲岸不遜で多才、附属小学校に通うダーク少年を子分に学校を騒がせる。
しかし彼は19のクラブ活動を掛け持ちしている為か成績は悪く、改善の余地が見られなければ退学という宣告をされてしまう。
そんなある日、彼は附属学校初等部の教師として赴任してきたローズマリー先生に恋をする…

ウェス・アンダーソン監督の長編2作目作品。
盟友のオーウェン・ウィルソンも脚本として参加し、2人の学生時代が投影された、青春コメディ映画。

主人公マックスは、奨学生のキッカケとなった劇作家の才能以外、実際に天才なのかはハッキリと描かれず、勉強の成績だって最初から悪かったんじゃないの?と思わせる。
19のクラブ活動だって、輝かしい功績を残しているわけでもなさそう。
ひょっとしたら自称「天才」が、勉強についていけない理由として、「クラブ活動に忙しい」と自分に納得させているのかもしれない…
今はまだ本気出していないだけで自分には大きな才能がある、マイアンサーNo.1、と自分を大きく見せる彼の青春は痛々しく、刺さる人には刺さるはず。

そして彼の歳の離れた親友である、理事長ブルームも、未だ少年じみた所のある人間。
演じるのはウェス・アンダーソン常連のビル・マーレイ。
流石の演技で、この映画の副主人公のような存在感を見せる。

マックスとブルームは、この映画で恋をするんだけど、2人とも恋に関しては愚かかつ純粋。
普段は「天才」として気取ったマックスだけど、積極的アプローチを繰り返した挙句「何故僕の事を好きになってくれないの」と、駄々をこねる少年のような所を見せる。
ブルームもそんなマックスと同レベルで、いくつになっても恋は人をバカにするんだなぁ。
2人は至って真剣なので、それがやはり痛々しい青春。

かつて「天才」や「神童」だった、或いはそう信じていた大人にこそ見てほしい映画でした。