茶一郎

天才マックスの世界の茶一郎のレビュー・感想・評価

天才マックスの世界(1998年製作の映画)
4.3
 ウェス・アンダーソン監督が自身のスタイルを確立させた作品。
 シンメトリーを始めとする幾何学的な画作りとカメラワーク、ポップな色使いと完璧なカラーコーディネート、アクションと劇伴とのリンク、映画の世界観を敢えて「箱庭」的な世界に押し込めるスタイルなど、我々が「ウェス・アンダーソン作品」と聞いて一番に思い出す全てが本作『天才マックスの世界』で完成しきっています。

 エリート校、全米有数のプレップスクールに通いながら勉強そっちのけで課外活動に全ての青春を捧げているダメ主人公マックスがテキサスの公立高校に転校を余儀なくされるという物語は、ウェス・アンダーソン監督自信の半生を反映させた言わばウェス・アンダーソン版『大人は判ってくれない』。
 ビル・マーレイ扮する年上男性との恋の鞘当てを経た「年上男性との友情の形成」など、後の作品に通ずるテーマをなぞり、最終的にはマックスの作る演劇を軸に大団円を迎えます。
 後のウェス・アンダーソン版『8 1/2』的『ライフ・アクアティック』同様、創作物が観客を癒すのはもちろん、自分自身を癒すという展開を見せるのも感動的です。
 映画内世界観を異常なまでに「箱庭」に閉じ込める演出、こちらも『ライフ・アクアティック』同様、冒頭とラストの「幕」を映すことにより、ただのスタイルに留まらない映画的意味合いを含める事に成功していました。
 ウェス・アンダーソン監督のほとんどが本作に詰まっていると言っても過言では無い『天才マックスの世界』!必見です。