馮美梅

蒼き狼 地果て海尽きるまでの馮美梅のレビュー・感想・評価

2.8
莫大な製作費をかけてモンゴルでロケもしてと頑張ったようですが…ちょっと力み過ぎたのでは?

合戦シーンが多いのも悪くないけれど、全体的に焦点がぼやけてしまった感が残念(夫婦の愛や親子の愛、仲間との愛を描いているように思えましたが…)。反町さんを見ていると旦那は「織田信長(大河で反町さんが織田信長を演じてから我が家では織田信長というふうに命名されている、何を演じてもそのようにしか見えないから…)」と言い、そしてセリフが日本語という違和感はある程度いたしかたないにしても松方弘樹との絡みの時のセリフが時代劇の武将同士のやりとりみたいなのが如何なものかと…。

その中でも出番が少ない松山ケンイチさん(しかしいくらなんでも「ジュチ(よそ者)」なんて名前を付けるなんて可哀想じゃない?)の出てくるシーンはなかなか良かったですよ。(贔屓目ではなく)特に父親に何とか認めてもらおうとする健気さとか、チンギスがハーンになった時にその場にいなくて父親チンギスが怒り、ジュチが病気だという側近の言葉よりも周囲の「元気だ」という噂を信じて怒り、北の陣地へ乗り込んで事実を目の当たりにして初めて息子が父を思う気持ち、自分のために父の足手まといや、迷惑をかけてはならないと、元気だといううわさを流したりする気持ちを知って涙し、はじめて自分から息子に歩み寄る、チンギスのシーンはこの映画の中で一番よいシーンだと思うし涙を誘いました。(反町さんもよかったけどこのシーンはやはり松山さんの演技が本編にさらなる相乗効果を高めていると思います)

自分も父が本当の父ではないのでは、と思って育ってきてるのに(でも父はチンギスに対して自分の本当の子供ではなかったとしても愛する女性が産んだ子供は自分の子供だと思い、愛情をかけて育ててくれたはずなのに、それが出来なかったというのは…仲間や女性に対する愛があってもそれをジュチにだけかけてあげられなかったのは悲しいですね)

色んな切り口があってもいいんだろうけど、この作品においてはなんだか少し勿体ないような気がした作品です。

女戦士クランを演じていたAraの存在がなかなか良かったし、野村佑人さんもいい演技していました。若村麻由美さんはいつ見ても奇麗だし…。
決して悪い作品ではないのになんだか残念ですね…
馮美梅

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