ひでやん

バットマンのひでやんのレビュー・感想・評価

バットマン(1989年製作の映画)
3.7
ティム・バートンが描いたゴッサムシティの世界は、ファンタジー過ぎずリアル過ぎない雰囲気で、古臭いアナログ感が丁度良かった。

ヒーローが悪を退治するという分かり易いストーリーだが、バットマンの二重性やジョーカーの異常性という人物描写が丁寧で、2人が対決に至るまでの経緯はなかなか深い。

ダークヒーローという裏の顔でジョーカーと対決しながら、大富豪という表の顔で対峙。互いに復讐心を持ち、1人の女性を取り合う2人は宿命であり宿敵。

美術館の天窓から現れる救出劇、爆炎の中を走り抜けるバットモービル、満月を背に反転するバットウィングなど、エンターテイメント性に溢れた映像の数々に興奮した。

そんなバットマンの勇姿に対して、ジャック・ニコルソン扮するジョーカーは圧倒的な存在感で、善と悪のどちらも主役という印象を与えた。

戦闘力は一般的で、特殊能力も無いジョーカーだが支配力はある。金をばら撒きながら毒ガスを浴びせるというヒーロー性と悪魔性、美術館や教会で踊るコミカルさと異常性、皮膚は笑って心は泣く彼の複雑な人物像が妙に魅力的だった。
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