タケオ

バットマンのタケオのレビュー・感想・評価

バットマン(1989年製作の映画)
3.8
両親を目の前で殺されたトラウマから全身コスプレ姿で自警活動を行う大富豪って、「ヒーロー」というよりは「狂人」じゃないか🤔

そんなティム•バートンの「バットマン」に対する斬新な解釈は多くの人々に受け入れられ、作品自体は世界中で大ヒットを記録した‼︎

主人公のバットマン(マイケル•キートン)とヴィランのジョーカー(ジャック•ニコルソン)を、善でも悪でもなくともに「異形のもの」として描き出した本作には、バートン自身のアイデアだけでなくフランク•ミラーによる傑作コミック『バットマン:ダークナイト•リターンズ』(86年)が生み出したリアル志向の影響が見て取れる。

しかしその一方で、ゴシック•ホラーの趣を感じさせるヴィジュアルにシニカルな笑いと、やや控えめではあるがティム•バートンらしい世界観もしっかり打ち出されており、そのアンバランスさが妙にクセになる。化粧品に毒が混ぜられたため、女子アナが皆んなノーメイクで報道番組に出演するなんていう悪意漲るギャグ描写の数々も非常に魅力的だ (*≧∀≦*)

そしてなんといっても、ジャック•ニコルソン演じるジョーカーが本当に素晴らしい‼︎

自分を裏切ったボスをブチ殺したのを皮切りに、美術館のアートをムチャクチャにするわ町中に笑いガスをぶちまけるわとやりたい放題暴れ回り、笑いの裏にあった悲愴を感じさせるウェットな幕切れまで終始鑑賞者を魅了し続けてくれる。流石はニコルソン、制作費の半分をギャラとして受け取っただけの働きはちゃんとしている!

社会からはじき出された「異形のもの」たちの戦いをあたかも「ファンタジー映画」のようなタッチで描き出した、なんとも濃厚で味わい深いアメコミ作品だ——。
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