ヒロ

13回の新月のある年にのヒロのレビュー・感想・評価

13回の新月のある年に(1978年製作の映画)
4.4
7年おきに来る太陰年に新月の13回巡る年が重なると為す術もなく破滅するものが幾人も現れる………愛した男に言われた一言が男を女へ、生を繋ぐための性は抑制が効かず暴走を繰り返し、持て余した愛は無作為に選ばれた受け口に無垢な種を植えつける、行く当てのない愛を然るべき相手に然るべき方法で注ぐことができればどれほど楽なことだろうか、神でさえ目を背けたその愛にいやアウシュビッツのAと私のI、孤独を埋めるために求めたAIのはずなのにいつしか愛に飲まれ孤独が深まる、獣が死をもって肉となり人間様の生を受け繋ぐように、死ぬことによりかつてあったその生が意味を帯びてくる悲しみ。虚像を映す鏡の記号的効果、行き違う対話が裏付ける埋まらない孤独それが形として出たモノローグ、冒頭のマーラーが暗喩するその終末、愛への憧憬と破滅。
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