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13回の新月のある年にのyのレビュー・感想・評価

13回の新月のある年に(1978年製作の映画)
4.0
7年おきに来る太陰年と、新月が13回巡る年の重なりにより、狂ってしまう人がいるという。天井近くに飾られた鏡が人間の姿を映すのは、「自由の代償」と共通するファスビンダーらしい演出。エルヴィン⇔エルヴィラ。男の姿で生まれ、女を愛し、aiに導かれ性転換し、男を愛し、捨てられ、女に愛される。
大きく2つある、歩行×モノローグにより過去を回想するシーンが映画のリズムを作る。特に、語りの熱量がピークに達する時、吊るされた牛たちの首に包丁が入れられ、ドバドバっと大量の血と共に中身が零れ落ちるシーンの迫力と背徳感!不動産屋アントン・ザイツに不当に解雇されてからビルの17階をずっと見つめ続けている男、テニスウェアを着てヒッピーのようにはしゃぎまわる、何が良いのか分からない不審な男。結局は友達面している奴らも、助けを差し伸べるフリをしてくる奴らも、顔のいい他人に過ぎない。レコードの歪みの反復にゾッとした。
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