emily

蒼ざめた官能のemilyのレビュー・感想・評価

蒼ざめた官能(2006年製作の映画)
3.2
アパートの管理人の仕事をしながら、脳卒中の父親の介護に明け暮れていたホルヘ。なんどか現状から脱出したく、就職活動にも精を出していた。兄は刑務所にいて、初めて本気で恋に落ちる。しかし彼女が囚人からリンチにあっていて、妊娠すれば別の棟に移されるので、妊娠させてあげたいのだが、兄には病気でそれができないため、ホルヘに依頼がくる。

場面の切り替えや、視点が変わるときの切り替え方が、独創的でとってもおしゃれ。

なんとなく現状でもがいては見るけど、そんな劇的に変わることもなく、でもすこしずつ心の奥底に眠ってた気持があふれたりして、壊れるわけではないけど、ちょっとした変化をもたらす。

何かを変えたいけど、何も変わらない。
それでももがかずにはいられない。それは何も青春時代に限った事ではない。年齢は関係なく、誰だって現状でもがいている。そんな微妙な心情をコミカルタッチに描き、なんとなくわかるようなわからないような、そんなボーダーラインすれすれのラインのエピソードが重なる。

現実なんてこんなものだよな。と嘆いたり、それでも時間は過ぎていき、周りでも大したことは起こらないけど、何かしらの変化は毎日起こってる。言いたいことがうまく伝わらない、そんなもどかしさを映像にしたような作品。
それでも何かしらの変化を求めて努力するしかない。
切ない現状を描きながらも、どこかすがすがしくて、切れ味がよい。少しだけ頑張ってみよっかな・・と皮肉にも背中を押されちゃう作品だと思います。
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