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ベルリン陥落 1945のNMのレビュー・感想・評価

ベルリン陥落 1945(2008年製作の映画)
3.4
どうしてこんなジャケットになったのか、これで機会ロスが起こっているならあまりにもったいない作品。これではバトルアクションと思われても仕方ない。

良い作品だった記憶があったので、今回で二度目の鑑賞。
ある匿名の女性の手記がもととなった作品。
実際は、戦争がほぼ終わったところからスタートするので、銃や大砲などを使う戦闘シーンはない。

描かれるのは、敗戦国ドイツの女性たちが、町にのさばる戦勝国ソ連の軍隊たちにいいようにされ、愚弄し乱暴を働く敵軍たちのはびこる町で、女一人どうやって生き抜くか、だ。

敵軍のみならず仲間うちでの裏切りや抜け駆けもあり、残念ながら美しい助け合いの様子などはあまり出てこない。また、パートナーだった男たちは敗戦後あまり頼りにならなかった様子で、帰国しなかった者はもちろん、帰ってきても暴行された妻をさらに罵倒する男、絶望し心ここにあらずの男、等々。

そんな状況を生き抜くため、敵軍で最も位の高そうな男に目をつけ、その愛人になる決断をし、自分と仲間を守ろうとした、強いヒロイン。
しかしそのパトロンとなった敵軍将校とて、いつまでも頼りにできるわけではない。

周りが敵だらけのなか逞しく生き、詳細な手記を残し、それがこの映画となった。
ドイツ人のなかには彼女の選択を良く思わない人もいたらしい。
彼女のその後の人生が、少しでも明るいものだったことを祈るばかり。
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