Qちゃん

ヒッチコックのゆすりのQちゃんのレビュー・感想・評価

ヒッチコックのゆすり(1929年製作の映画)
3.5
私がここまで観たヒッチコック作品の中では一番古い作品。

え、まさかのサイレント!?と焦るほど長い無言演出。元はサイレント用だったんだね。まさに映画の変遷期ど真ん中に亘って凄い作品を作り続けてたヒッチコックの監督人生を各作品観るたびに実感する。本作がイギリス初のトーキーらしい。

珍しく本編に入るまでの序章が長い。が、本題入ってからの展開がめちゃ早い。こんなスッキリしないエンド、「めまい」以外にもあったんだ。えらく高くついた強請り。と思ったら、ヒッチコックもこの結末は気にしてたみたいで、商業意識を抜いた、彼的なエンディングも考えていた模様。そのバージョン、読んでみたら世知辛いけど、まあ納得な終わり方でした。

女優男優はいかにも白黒サイレント時代っぽいセレクトのキャスティングだが、人影や手すりの影を映す照明の使い方と真上からの階段の撮り方、皮肉な小道具の使い方や演出にヒッチコック節を見る。

直接描写しない彼女の殺人、その後呆然と放浪する彼女の心理が反映された情景描写の演出がスリリング。個人的には電光掲示板のシェイクするシェイカーが何度もナイフを突き立てる手に見えるくだりにギョッとする。🔪世間話で殺人事件の話をするおばさんの「ナイフ」という言葉ばかり耳に入ってきてしまう演出もトーキーならでは。トーキー一発目にして使いこなしてる。

自首を覚悟して立ち上がった彼女の首元に落ちた窓枠の影が、首の周りに絞首刑の縄が巻き付いたように見えるのすごい。もちろん嘲笑ってくる道化師の存在感はすごいけど。まさにプギャーm9(^Д^)

ヒッチコックのカメオww 子供にめっちゃ弄られてるww この映画唯一の笑いどころ。
Qちゃん

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