adeam

ヒッチコックのゆすりのadeamのレビュー・感想・評価

ヒッチコックのゆすり(1929年製作の映画)
2.0
イギリス初の長編トーキーとして知られるヒッチコック初期のサスペンス。
衝動的な殺人を犯してしまった女性とその事件を捜査することになった恋人の刑事を描いた物語です。
トーキーと言いながら実際はアテレコだったようで、やや不自然な部分があるものの、それ以上に不自然さが気になってしまったのはぎこちないカット割と演出、そしてストーリーテリングでした。
引きと寄りのバランスがイマイチで、クローズアップのカットだけが浮いてしまっています。
爽やかに聞こえるはずの朝の小鳥のさえずりで檻に囚われることを暗示したり、主婦の噂話で放たれるナイフというワードを強調したりといったヒッチコックらしい演出も大げさにやりすぎでした。
事件が起きるまでに全体の尺の1/3を費やし、その後もなかなか先に進まない構成も難ありだったと思います。
大英博物館でのスリリングな追いかけっこと、ハッピーエンドなようで罪の意識を背負わせる意地の悪い結末は良かったです。
adeam

adeam