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北京原人 Who are you?の広島カップのレビュー・感想・評価

北京原人 Who are you?(1997年製作の映画)
1.5
ウ.パー.パー.パー、パーパーパー

本作のタイトルの語感リズムは素晴らしい。
なかなかこういうタイトルには巡り合えない。
もし狙ってやったのだとしたらつけた人は相当な言葉力の持ち主だと思います。その方の他の映画タイトルがあったら是非知りたい。

本作が映画として取り敢えず成立するかどうかの最低要件は登場する北京原人が「ウパー」という発声形態で本当にバーバルなコミュニケーションをとっていたのかどうか?という一点にかかっています。
「そんなことはないんじゃないの?」と観客の99%が思っていますが、佐藤純彌監督以下、脚本早坂暁他の製作者が「いや、彼等は絶対こうやってコミュニケーションを取っていたんですよ」と言っている訳です。
その一点が正しくないと本田博太郎や他の北京原人を体当たりで演った二人の役者さん達が浮かばれません。

東映が20億円を投じた本作。同年には洋画界では『タイタニック』『メン・イン・ブラック』など潤沢な製作費が投じられた優れた娯楽作品が作られています。
大金をかけてやる仕事はそれなりに何かを産み出さないと非難の対象になるのは最近のアベノマスクの一件をみても明らかです。
まあ、こちらの方は税金ではないので対岸の火事として眺めていられる分気が楽なのですが...

遺伝子操作で北京原人を蘇らせたはいいが彼等を実業団の陸上競技大会に出場させたり、研究所の所長が研究員の女性に原人の子供を作れと言ったり、既に世の中には『ジュラシック・パーク』が存在していた時代だったのに本作のマンモスのなんとチンケな事...etc、まあ内容は酷いものです。
大枚叩いているのに日本の娯楽映画とはこの程度のものなのか?と観客に思わせた罪は重い。
「あんたら誰?」とは原人に対してではなく本作の製作者達に言いたくなります。
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