Pepe

ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生のPepeのレビュー・感想・評価

4.9
僕らロサンゼルス映画学校生による
【ゾンビ映画トップ5----第1位】

フィルマークスでゾンビ映画のレビューを最近よく見るのでいつかゾンビ映画ランキングをしようと思ってたんですが、ちょうど今ロサンゼルス映画学校の友達といるので真剣にゾンビ映画トップ5を決めようということでこれから討論して発表していきます!

討論を開始してすぐに全会一致で決まった第1位。まぁこれは文句なしで1番素晴らしいゾンビ映画ですね、ただ単に映画史において1番最初のゾンビ映画というだけでなく、純粋に1番素晴らしいジョージ・A・ロメロによるゾンビ映画。

あらすじは…
父の墓参りに来ていたバーバラと兄のジョニーはゾンビに襲われる。兄を殺されながらもやっとの思いで逃げたバーバラは近くの民家に逃げ込む…

1968年の映画ですし歴史的初ゾンビ映画なのでとても単純なストーリーですね笑
先ほどから初のゾンビ映画と言っていますが的確には「ゾンビ」映画はこの映画よりも前に存在しています。
例として1943年作の『私はゾンビと歩いた』という作品がありますがこの映画の中での「ゾンビ」は今現在僕らの考える「ゾンビ」とは違いブードゥー教の儀式によるただ無表情で歩く「ゾンビ」として描かれています。
この他にも1932年の『恐怖城』は元祖ゾンビ映画と知られていますが、やはりこちらもブードゥー教の儀式によって作られた命令に忠実な奴隷死体のようなものなので
今ある「生きた人間を食す生ける屍」という「ゾンビ」を生み出した映画史初のゾンビ映画は今作です。
(『私はゾンビと歩いた』と『恐怖城』も素晴らしい映画ですが)

映画史初のゾンビ映画というだけでなく素晴らしい映画なんですよ、この映画。

まずこの映画はスタジオによる高予算映画ではなくピッツバーグで作られたインディペンデント映画という点。
この映画以前に人間が人間を食すカニバリズムが映画で扱われたことがなく
まさに映画史の流れを変えた映画というだけでなくある意味映画のリミットを一気に押し上げた訳です。

この映画がカルト映画の象徴でもあり、アメリカ国立フィルム登録簿に永久保存登録されてるのには深いわけがあります。
この映画が公開された1960年代はアメリカはベトナム戦争、黒人差別問題などたくさんの社会問題で荒れていました。
それが大きくこの映画にかかわっています。
ベトナム戦争はテレビで中継されており、戦争の悲惨さが家庭のテレビに映し出されていました。兵士が死んでいく映像がテレビに映し出されるなかこの映画が登場したわけです。間違いなくアメリカでの反戦運動に大きく影響したでしょう。

また黒人差別も大きな問題であり黒人は動物以下のような扱いを白人に受けていました。そんな中この映画の主要キャラクターでもありヒーローでもあるベンは黒人です。ネタバレしたくないので詳しくは言いませんが黒人のベンが活躍するこの映画もまたアメリカ社会では大きな衝撃だったと思います。またこの映画のラストが当時のアメリカを映し出しています。
黒人のベン以外にも主人公が女性のバーバラというのも当時の映画史において珍しい点だと思います。
女性と黒人がメインというのはその後の映画史の転換点だと思います。

ストーリーは先ほど言ったようにシンプルですがただゾンビが襲ってくるパニック映画なだけでなく、人対人の構造もしっかり組み込まれていて今現在あるゾンビ映画、テレビショーの基盤になってると思います。
あと怖いんですよ、白黒なので影の使い方がすごいうまいです。
今現在の映画ではグロイシーンなんて当たり前ですが、それでもこの映画のグロイシーンはなんか怖い。
40年以上前の映画なのに怖いです。

ゾンビ映画が好きな方もそうでない方も素晴らしい作品なので観ていただきたい。
これは誰の文句もなしで最高のゾンビ映画です。
今は著作権消失されてるためどこでも観れますしなんならウィキペディアも観れますよ(字幕がなかったと思いますが)
確かhuluにもあったような?
映画史初にして最高の今作、是非観てください!
間違ってもリメイクの方を見ないように笑

長くてすみません。
Pepe

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