イチロヲ

ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド ゾンビの誕生のイチロヲのレビュー・感想・評価

4.0
生ける屍の出現を受けて、民家に避難した男女グループが、人間関係の軋轢の中で籠城戦を余儀なくされる。ブードゥー教の蘇生術とは異なる「ロメロ型ゾンビ」を新発明している、ホラー映画の金字塔的作品。

公民権運動、ベトナム反戦運動とリンクしている、ロメロ監督の社会派ゾンビ映画第1弾。人肉を求めてフラフラと彷徨い歩く、食人系ゾンビのキャラクター像を最初に創造している作品でもある。

舞台となる民家では、行動力のある黒人青年がリーダーシップを取るのだが、地下室の安全圏に身を潜めようとする妻子あるオヤジが、無意味なマウントを取りまくる。そして、人格者である妻が、「今は一致団結が必要だろが、このアホンダラ!」とブチギレる。

屋外の状況を安易に見せずに、ラジオやテレビで逼迫した状況を伝えてくる手法が、絶大な効果を上げている。一般市民と国家上層部の乖離状態が社会風刺として織り込まれており、ロメロ監督の一貫したスタイルを再認識することができる。
イチロヲ

イチロヲ