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不貞の女のmuscleのレビュー・感想・評価

不貞の女(1968年製作の映画)
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とにかくコトを起こしてからのバイブスがヤバい。湖を見つめる→湖を見つめているわけでもない惚けた顔。とにかく自分が書いた脚本はシンプルになるシャブロル。「自分が自分でないことに耐えられなくなってしまう」。ラストはズームインとトラックバック。視点が残されて、でも外せないことがグッとくる。でもそれよりも超遠距離の立ち位置を見せておいて平然とゼロ距離であるかのような正面切り返しをやってのけている。


「ズーム・インの終わりが先でトラック・バックが続けば、この映画の結末は不幸となる。別離の絶望が和解をしのぐからだ。反対にトラック・バックの終わりが先でズーム・インが続けば幸福となる。彼は彼女のもとにとどまるだろう。両方の終わりが同時ならこれは奇跡だ。奇跡は確認するものではなく、目撃するものだからね。悲しきかな、トラック・バックのほうがズーム・インよりわずかばかり長びいた。だからこの映画の結末は不幸なのさ」。フランソワ・ゲリフ 大久保清朗訳『クロード・シャブロルとの対話 不完全さの醍醐味』清流出版、2011年、p.110。
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