リッキー

みんな元気のリッキーのレビュー・感想・評価

みんな元気(2009年製作の映画)
3.9
940本目。190129
最近、無意識に「家族の絆」を題材にする作品を選択していることが多い傾向にあります。
本作品は1990年にイタリアで公開された映画のリメイク版として名優ロバート·デ·ニーロが主演で巣立った子供たちとの親子関係を描いた内容です。
この作品は「マイ·インターン」のようにデ·ニーロの穏やかな老紳士ぶりを堪能できる、上品な作風となっています。

妻に先立たれ、遠方に住む子供たちと久しぶりに再会することを楽しみにしていた父ですが、子供たちは皆都合がつかず誰一人帰ってきません。
迎える準備も万端で楽しみにしていたため父はショックを受けます。
来ることができないのなら、自分が子供たちに会いに行こうと、持病をかかえながらも子供たちに会いたいがため旅に出る姿を観て、父の心情が痛いほどよくわかり、切なくなりました。

実際に子供たちに会った時、また別れるとき、父の目には瞬間的に子供のころの幼い姿が見えています。
このシーンにより、どの子も分け隔てなく愛情を注いで育てたこと、そして子供たちが幾つになっても親にとってはいつまでも「子ども」だということがわかります。
しかし子供達はというと、どこか父に対して不自然なふるまいが目立ち、結果、父はそれまで秘密にされていた子供たちの真実を知ることとなります。
この作品では我が子に対し過度な期待をしてしまう父と、その期待に応えられなかった子供たちとの親子の葛藤を上手に描いています。

親というものは、我が子の誕生時には「元気で幸せになってくれれば、それ以上望まない」などと言いますが、育てていくうちに子供に多くの期待をしてしまいがちです。
他人の子どもに対してはニュートラルに接することができるのに、やはり我が子は特別に違いないと期待し、その期待で縛り付けてしまいます。「みんな元気」なら、それで十分なのに…。

ラストは親子の愛情を再確認し、家族が楽しくクリスマスを祝っています。いつまでも仲の良い親子であってほしいと願うばかりです。

ポール·マッカートニーの「(I want to)come to home」が挿入歌となっています。
第二の「let it be」を意識して作ったようですが、私の心にはあまり響かなかったです。
リッキー

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