冒頭から全く想像のできない着地での締めが面白い。
所謂ブレッソンスタイルは「田舎司祭からの日記」からと言われているらしく、その直前の作品。でもやっぱり感情の描写に「らしさ」がある。
主演の麗しい貴婦人様の冷徹な無表情がブレッソンぽいが、ブレッソン作品だと忘れるくらいにドラマ然としていて、いい意味で脚本からしてドラマチックな面白さ。
そんでもって恋愛ドラマを軸に、2人の女と1人の男のどの立場にでも立てるような三様の視点から織りなす演出が凄い。
1人の視点ではないからこそ、自分本意な感情と他者から見た当人の人間性との差異や、相互の関係性から生まれる感情を俯瞰から楽しめる面白さがあり、ただドラマをなぞる娯楽というだけでなく人間臭いリアリティという面も滲み出して映画の魅力にしている。
ブレッソンはいつだってブレッソンだ!と言わんばかりのセンスはさすがの素晴らしさで、演出で語らせる感情のバリエーションがめちゃくちゃ楽しいし、そんな変化球の演出が観客の想像を先読みさせず、思い返せばベタなのに映画に集中させ瞬間を楽しませる醍醐味がある。
ラスト寸前でスコア跳ね上がった。ちょっと笑えるくらいに最高!