櫻イミト

イタリア麦の帽子の櫻イミトのレビュー・感想・評価

イタリア麦の帽子(1927年製作の映画)
3.5
「自由を我等に」(1931)「巴里祭」(1932)のルネ・クレール監督がサイレント期に作ったコメディ。

結婚式へと馬車を走らせる新郎ファディナール。しかし落とした鞭を拾っている間に馬が道端にあった麦わら帽子を食べてしまう。帽子の持ち主の女性は中尉と逢い引き中で、帽子がないと夫の待つ家に帰れない。二人は「同じ帽子を今日中に返せ!」と迫る。。。

チャップリン、キートン、ロイドの三大喜劇王の全盛期に作られたフランス産の傑作コメデイ。身体を張ったドタバタの笑いではなく、主役のピンチと周囲の人々の天然ボケが上手に構成され、ストーリー性のある喜劇なのでとても観やすかった。

ただ中盤の展開がスローになるので、そこを味わい深く楽しめるか、間延びと感じるかは、観るときのメンタルによると思われる。

個人的には、帽子を馬に食べられたカップルを前に最初は笑いがこらえられないファディナールが、家具を壊されビビり始めるさまが面白かった。布石(アイテム)回収エンドは気が利いていて、まさにフランスらしいエスプリを感じた。
櫻イミト

櫻イミト