TaiRa

旅情のTaiRaのレビュー・感想・評価

旅情(1955年製作の映画)
5.0
オードリーがローマならキャサリンはヴェネツィアでオールロケだ、という観光メロドラマ。ヴェネツィア行きたくなる。

当時40代後半だったキャサリン・ヘップバーンがアラフォー独身一人旅中の女性を演じる。いわゆるハイミスっていうやつ。アメリカからやって来た彼女にホテルの主人が旅行の目的を尋ねると「人生で逃して来たものを見つけに」と答える。アメリカで彼女がどういった生活をしているかは分からない。旅先でのロマンスを求めつつ、その勇気は中々出ない。彼女が一人でバルコニーに佇む姿が印象的。猫にも相手にされない。街には観光客も現地のイタリア人もカップルばかり。そんな中で出会うのがロッサノ・ブラッツィ演じるイタリア人男性。この出会いの場面がまた良い。さり気なくお互いの存在に気付いて行く様が綿密に描かれる。目線のショットで足首を見せるのも良い。骨董品屋での再会も演出がきめ細かい。「サングラスかけましょうか?」の自然さ。主人公の相手をしてくれる唯一の存在が孤児の少年というのも絶妙。ロケ撮影の巧さも流石。路地から広場に出た瞬間の開放感。女心を映す衣装の移り変わりも観ていて楽しい。ラストの駅のシーンはとにかく素晴らしい。旅先のロマンスは得るもの得たら良い所で切り上げるのが吉という為になるお話。

「アメリカでは50歳前は乙女」とか良い台詞がいっぱい。
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