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旅情のjyoのレビュー・感想・評価

旅情(1955年製作の映画)
3.5
『アラビアのロレンス』や『ドクトル・ジバゴ』などで知られるデヴィッド・リーンの傑作メロドラマ。なぜか、地元のレンタルビデオ屋でおいていなくて、今回のBSの放送で初の鑑賞だが、舞台となるベネチアを捉えた映像が美しくて、また昼間のシーンも多くて、『自転車泥棒』や『ローマの休日』のように暑さが伝わる。また、この2作品とは違いカラー映像だからなおさらだ。

主人公のアメリカン女性のジェーンは、旅行先でレナートという男性と出会い、淡い恋心を寄せていく。レナートという男性との出会い方がなんとも不気味で後にルキノ・ヴィスコンティが作った『白夜』のマルチェロ・マストロヤンニのようであった。

しかし、ジェーンは偶然にもレナートと出会うようになるので、次第に親しくなっていっくのだが、それが普通の恋愛関係ではなかったのだ。

この内容は後のリーンの作品である『ドクトル・ジバゴ』や『ライアンの娘』とも繋がるような物語で、どこかしらモラルには反している。その心の葛藤もありながらも、ジェーンはレナートとの関係も深めていく。

ラストシーンが感動的でこれまでにもいくつかの映画やドラマでも引用されていると思う。

実は私はリーン作品は『戦場にかける橋』以降のワイドの映画しか観たことがなく、今回初めて1.33:1の彼の映画を観たが、彼の作品は長い上映時間を利用したじっくりと映像を観せているのに対して、今回は淡々に映像を観せているような印象であった。リーンは、1.33:1以前の作品とワイドスクリーン以降の作品とは明らかに作風の異なっているという事が『旅情』観てわかった。しかし、女性の心理描写に関してはあまり変わっていないとは思う。

あと、この映画、PG12指定らしい。どこが?
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