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旅情のnutakiのレビュー・感想・評価

旅情(1955年製作の映画)
4.0
『漢字2文字シリーズ』その3
1955年の名作。いくら私でも、まだ生まれてないよ。
監督はデヴィット・リーン。
『アラビアのロレンス』が素晴らしかった。
生涯で6回も結婚している。すごいね。
64年も前の作品なのに、ヴェネツィアの景色は美しく、むしろ『世界ふれあい街歩き』なんかよりずっと魅力的にさえ見えるのは何故だろう?
歴史的な建物の色は濃い茶色だし、島の家々も明るい綺麗な色をしている。
この時代、ヨーロッパは遥か遠い土地で、庶民は行けるなんて考えられない。
先日亡くなった、兼高かおる位しか行けない所だった。
夢の国イタリアの美しい街を映像で観るだけでも、女性はどんなにか憧れたことだろう?
ましてや、イタリア色男に迫られるのだ。
アメリカから一人旅でヨーロッパを周り、ヴェネツィアに来たジェーンは38歳独身。
キャサリーン・ヘプバーンが演じた。
実年齢は48歳。
やっぱり30代には見えないもの。
オスカーを4回も受賞した、アメリカのスーパースターだが、日本の人気はもう一人のヘプバーンの方がずっと上。
私もオードリーは好きだけど!
綺麗だが、冷たい印象がある。
こけた頬と全体に尖がった顔のパーツがいかにも外人で、小さく可愛らしいオードリーとは親しみ具合が違う。
更に、おそらくかなり長身。ドスの効いた声も男前。
ラストの手を振るシーンなんて、彼女のリーチの長さが気になって、溢れた涙が止まってしまいそうだったよ。
2003年に老衰で96歳で亡くなった。
『招かざる客』の夫役スペンサー・トレーシーとは不倫だったが、長くパートナーだった。
サン・マルコ広場で出会ったレナードをロッサノ・ブラッツィ。
キャサリンより実年齢は10歳位年下だ。
イタリア男らしい小柄でがっちりした体型。
ロバート・デ・ニーロにも似た美男で、色気もある。
顔は良く観れば、ブラッドリー・クーパーにチョイ似だ。
今作の主題歌を歌っている。
ラビオリとステーキというセリフがなかなかグッド。
驚くべきは『ゴッド・ファーザー』でヴィトー・コルレオーネ役のオファーが来たが断ったという話だ。何で断った?
今ではマーロン・ブランド以外有り得ん、と思ってしまうが、彼がやっていた可能性があったということだ。
しかも、アル・パチーノ演じたマイケル役は当初、ロバート・レッドフォードにオファーが来たらしいから、俳優が違っていたらどうだったんだろう?と想像するも、やっぱりマイケルもパチーノじゃなきゃダメって思うよね。
もちろん、若き日のヴィトはロバート・デ・ニーロ以外は絶対×!
さて、この作品、さすがキャサリン、上手い。
警戒心があるが好奇心もある、孤独な38歳の女性。
最初は頑なに断るが、だんだんと心を開き、少女の様に目を輝かせお洒落をする。
恋をした女性は綺麗に、明るくなっていく。
そして、現実を知ってからは、絶望するが、男の魅力と甘~い言葉にはあがなえず、恋の道は運河を進んで行くのだ。
階段でコケたり、運河に落ちたり、ユーモアもあるし、演出が上手い。
そして、彼女の決意とその潔さ。
もうこれは、ヨーロッパ旅行のパッケージにイタリア色男付き、とでも入っていたんだと思う位、ヴェネツィアの街と彼はセットだったかのよう。
このレナードの本当の気持ちもいまひとつ分からないが、とにかく一生懸命だし、純粋だと思いたい。

ラストシーンの2人が素敵で、色んな意味で、大人の恋、と感じた。
彼女の旅は、この先の人生を照らす光をしっかりとお土産にしただろう。
ひとり旅、いいね。