真っ黒こげ太郎

ファニーマン/血染めのジョーカーの真っ黒こげ太郎のレビュー・感想・評価

4.2
この残虐さ、無敵!

残虐で無敵といっても、セガール大先生の事じゃないよ。w




音楽プロデューサーのマックスは、ポーカーの賭けで勝利し、怪しげな老紳士が掛けた屋敷の鍵をゲット!!!!

実質的に老紳士のお屋敷をゲットしたマックス。早速週末を過ごすために家族と共にお屋敷へ。
マックスと末っ子のハリーは大きな屋敷にノリノリだったが、妻のティナと長女のジェイミーは乗り気じゃなかった。

だが屋敷の地下で、殺戮宮廷道化師のファニーマンが蘇った!!!
何処ぞのクソ無責任ヒーロー張りに視聴者の姿が見えてるファニーマンは奇妙キテレツな芸とショートコント(!?)でマックス一家を襲うのだった。

更に拾ったヒッチハイカー(という名の殺され要因)を連れたマックスの弟ジョニーも合流!!!
案の定彼らもファニーマンのヘンテコ殺戮ワールドの餌食になる…が!?




謎の宮廷道化師姿のヘンテコ殺人鬼の大暴れを描いた、ヘンテコな悪ふざけ・コメディ・ホラー。
フィルマやネットの一部のレビューとかで妙に評判が良いし、グロ描写もあるっぽいのでノリノリで鑑賞したのだが…。


これがまた…物凄い珍妙作だった…。
何なのだこれは!?どうすればいいのだ!?(知るか!)



お話は単純明快!!!
お屋敷をゲットした一家とその他大勢の殺され役(爆)が、その屋敷の地下から蘇った殺人鬼にコロコロされてゆくという、シンプルな筋書き。
殺人鬼はフレディ・クルーガーみたいな陽気でコミカルなキャラで、コスプレして変な普通ならありえねぇ~タイプの殺し方を駆使します。


そんな感じで、話の筋書きだけ見ると「エルム街」オマージュな真っ当なスラッシャー物に見えるのだが今作は何と言うか、全体的に悪ふざけしすぎ!!!
陽気な殺人鬼故コミカルな場面が増えるのはまだ分かるのだが、今作の場面は普段なら恐怖になる殺人鬼の襲撃場面が怖さの欠片も無い、何処かズレたコントになってるのだ。


最初の殺人シーンからしてシュールなコント丸出しで、カメラ目線でメタ発言をブッかます。
殺され役の登場人物もファニーマンに出会っても妙に冷静な連中が多く、思いっきりコントに乗っかっている。(”深刻なツッコミ不足”だ…。)
ファニーマンの台詞も何処かスベリまくってるし、大爆笑!というよりは失笑な場面が多い。
(一応、要所要所で笑えるネタはあるが。)

後半になるとひたすらファニーマンと殺され役連中の悪ふざけ殺戮劇の連続で、お話もクソもなくなってくる。w
挙句、オッサンがファニーマンのセクシークラブに連れ込まれて変なお色気ショーを見せられた挙句、路地裏でファニーマンと言い争いになったり(!?)、ヒッチハイカーの女性が腕を拳銃に変え(!?)ファニーマンと謎の西部劇バトル(!??)を繰り広げたり、弟がミュージシャンになって(!!??)演奏したらカートゥーンアニメみたく退場(!?!?)と、見てるこっちはもう何がどうなるか分からない謎展開に終始振り回されっぱなし。

そしてその謎展開を超えた先に迎えるラストは、それまでの悪ふざけが一変して狂気のホラーに変わるという急転直下なオチ!!!
最後の最後で真面目なホラーになった!!!w


という事で、ショートコントの連続とナンセンスなギャグの連続で視聴者を翻弄し振り回しまくる今作。
殺し方やスプラッターの見せ場はかなり凝っており、「死に神シュート、オレ!オレ!(生首キック)」「狂気の目玉クシ刺し(目玉にヒールの踵刺し)」「必殺脳髄押し出し!(後ろから銃撃し目玉と脳髄がポーン☆)」等の煽り文句に恥じぬ血みどろで思考を凝らしたゴア描写が楽しめる。
悪ふざけレベルのしょーもないコメディ描写も、余りにもしょーもなさすぎて寧ろ愉快にすら思えてしまった。w
特に弟の末路は「よくここまでやった!」と感動してしまった。(感動?w)


正直、俺は結構楽しめたが、間違いなく万人受けはしないだろう。
ホラーの怖さは(ラストを除けば)、皆無だし、コメディ要素はお世辞にも笑えるものではないだろう。

だが、ここまで”くだらなさ”を極めると寧ろ清々しい物を感じる。
(狙ったくだらなさではないかもしれんが。)
興味がある方は「今日は下らねぇ~モノを見るんや!」という意気込みで是非どうぞ。w