ナツミオ

わが谷は緑なりきのナツミオのレビュー・感想・評価

わが谷は緑なりき(1941年製作の映画)
4.2
NHK-BSPプレミアムシネマ
録画鑑賞
ジョン・フォード監督の西部劇・戦争映画以外の作品を初めて観た、家族ドラマの名作‼️

19世紀末、イギリスの炭鉱町に暮らす一家を、巨匠ジョン・フォード監督が美しい映像と詩情豊かな演出で描く傑作ヒューマンドラマ。

アカデミー賞10部門ノミネート(
助演女優(サラ・オールグッド)・脚色・録音・作曲・編集)
5部門受賞(作品・監督・助演男優(ドナルド・クリスプ)・美術モノクロ部門・撮影モノクロ部門

原題 『How Green Was My Valley』

1941年米作品モノクロ
監督 ジョン・フォード
原作 リチャード・リュウエリン
脚本 フィリップ・ダン
撮影 アーサー・C・ミラー
音楽 アルフレッド・ニューマン
出演 ロディ・マクドウォール ウォルター・ピジョン モーリン・オハラ ドナルド・クリスプ
日本語字幕 篠原有子

(NHK番組内容より)
50年の思い出が詰まった故郷ウェールズを後にするモーガン一家の末息子ヒュー(マクドウォール)は、家族に囲まれ、貧しくも幸せだった少年時代を振り返る……。

イギリスの炭鉱町で、さまざまな不幸に見舞われつつも懸命に生きる家族を、美しいモノクロ映像と詩情あふれる演出で描く。

イギリスの炭鉱町ウェールズで暮らすモーガン一家。
父ギルム(クリスプ)、母ベス(サラ・オールグッド)、5人の兄、姉アンハード(オハラ)、末弟ヒューの9人家族、父と兄は炭鉱夫。モーガン一家の悲喜こもごもをヒューの視点で描かれる。

長男イヴォールと結婚した兄嫁ブローウィン(アンナ・リー)へのヒューの年上女性への憧れ、姉アンハードと新任牧師グリュフィード(ピジョン)との悲恋。
炭鉱事故での長男の死、景気・不景気の波に晒される一家や労働運動初期の高まりで父と兄たちの確執など家族や取り巻く人々の描写も丁寧に描かれる。

緑あふれるウェールズの自然と炭鉱町の描写がセットとは思えない風景が素晴らしい。

印象に残るシーン
・姉アンハードがグリュフィードにほのかな恋心を抱きながらも、お互い身を引く悲恋。モーリン・オハラの輝き。

・兄弟で初めて隣の谷の学校へ入学したヒューが学校で受けるイジメ。傷だらけで帰ってきたヒューを見て父兄や元ボクサー達が特訓しその成果。
虐待した教師へのお礼シーンもスッキリ。

・長引くストで人々の心が疲弊し父への中傷に母ベスが集会で演説する愛情たっぷりなシーン。

・炭鉱夫たちの合唱団が頻繁に歌うシーンのハーモニーの美しさ。

・お祝いで町中が浮かれる中、兄たちが一人二人と新天地を目指し、故郷を出ていく寂しさ。

・雪降る池に落ちた母を助けるため飛び込んだヒューも凍傷で歩けなくなり、グリュフィードの励ましと献身。

・父が事故に遭い、フュー、アンハード達が坑内に入り見つけるシーン。

フォード監督自身はアイルランド出身、13人兄弟の末っ子。
本作のフューの視点は、監督自身の経験も入っている?

イタリア映画の傑作『鉄道員』(1956)も末息子の視点で見た家族が描かれ、本作の影響も感じた。

アメリカ国立フィルム登録簿に登録
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