これは現存する私の映画記憶の中でもかなり最古に近い作品。
子供の頃に、家族でお茶の間テレビで両親と観た、かすかな記憶。
ビデオさえない時代。テレビ放映される洋画劇場は、娯楽であり、文化の継承ツールでもあった。
「若草物語」「仔鹿物語」などアメリカの古典的な名作やヒッチコック映画から多くのことを学びました。
でも、今は親子、家族で同じ映画を観ることも少ない。観ようと思えば古い映画にも出会えますが、家族で一緒というところが大事なんだと思う。
さて、本作。これも曖昧な記憶の部屋は、分かりやすいジャンル分けをしてしまう。
この映画もラストの感動的なナレーション、
「でも、私の記憶には今も残っている。我が谷は緑なり」の記憶から、
「ふるさとは懐かし〜的なノスタルジック映画」の棚にしまっておいた。
しかし、半世紀近く経って観たこの映画は、ノスタルジックオンリーの映画ではなかった。
もちろん、その側面や匂いも強いが、
むしろ「痛く、切ない」作品でもある気がした。
時代の流れに抗い、のみ込まれていきそうな家族の記録、なんとも痛々しい場面も多かった。
前半の牧歌的なシーンを知っただけに哀しい。
炭鉱での事故、一人一人上がっていくシーンも怖かった。
このシーンの見せ方、さすが名匠ジョンフォード!
空のコンテナ、上がってくるコンテナ、、
「父さんは大丈夫か?」
観客も固唾をのんで見つめる。上手い!
厳格な父、炭鉱しかないコミュニティ、そこでもがく青年、、
でも、このシュチュエーションどっかで観た?「遠い空の向こうに」にそっくり。
まあ名画をインスパイアしたんでしょうね。
カメラワークはどのシーンもキレイ!
上手い映画は、人物の地理的立地→どんな場所に暮らしているかが、一目でわかる絵になっているね!
大感動作!ではないけど、
100%ノスタルジックな雰囲気に酔わせてくれる甘い作品ではないけど、
一度は観てもいい作品だと思います!
私の「我が谷」は、子供時代を過ごした板橋本町!😢