ぴろぴろ

わが谷は緑なりきのぴろぴろのレビュー・感想・評価

わが谷は緑なりき(1941年製作の映画)
4.0
古き良き時代の名画でした。
モノクロ映画なのに映像が美しく、題名の通り、あるいはそれ以上に、趣ある谷の景色は輝いて、もはや緑にしか見えない。
19世紀末のウェールズ地方、小さな炭坑町で暮らす モーガン一家の悲喜こもごもを回想形式で綴るヒューマンドラマ。
器用ではないけれど職人気質で実直な父親、肝が据わった強くて愛情豊かな母親、父親と共に炭鉱で顔をススだらけにして働く兄達、美しい姉。 逞しく働く男達と、家を守る女達。 それぞれの役割りの中で、質素で裕福ではなくとも 大家族は堅実に暮らして来た。 父と兄達の葛藤、父親を守ろうとする母親、兄嫁への憧憬、真冬の川に落ちて凍傷、お互いを想いながらも結ばれない恋と不本意な結婚、学校での喧嘩といじめ、リストラ、炭鉱での不幸な事故と男の友情。 決して順風満帆ではないけれど、誇りを持って誠実に逞しく生きる一家を、末っ子ヒューの目を通して語られる人生賛歌。
苦しい時も悲しい時も、過ぎてしまえば全てが人生の肥しに、家族の歴史となり、美しい思い出となって心に生き続ける。
何も語らずとも、モーガン一家の歴史を見届けて来た谷。
「リバー・ランズ・スルー・イット」系が好きな人は好きじゃないかなぁ。
男達の歌声が印象に残る。
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