回想シーンでご飯3杯いける

バッド・チューニングの回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

バッド・チューニング(1993年製作の映画)
3.8
出演者の服装や髪型だけじゃなく、タイトルのフォント使いまで徹底して'70年代風なので勘違いしそうになるけど、実は'90年代に製作された映画。同じ時代を舞台にした「エブリバディ・ウォンツ・サム!!」でも知られるリチャード・リンクレイター監督による作品だ。

欧米では9月から学年が変わるので、7月に夏休みに入ってから約2ヶ月間の少年少女はほぼ無法状態。季節的に最も開放的になるのと、学校の節目が重なるから、本作のように「ひと夏の経験」を描く作品が非常に多い。

本作も終業式の日から翌朝の夜明けまでという限られた時間を切り取っているからこそ、楽しさも、ばからしさも、切なさも、とびきり魅力的になる。永遠に続きそうな青春の狂乱が覚めて、昨日より少し大人になったような気分が漂う翌朝のシーンがやはり良い。

音楽は'70年代当時に一世を風靡していた第一期のエアロスミス(現在とは曲調が異なる)を筆頭に、ブラックサバス、キッス等、ハードロック系が惜しみなく投入される。音量も大きめで本当に楽しい。原題にもなっている「DAZED AND CONFUSED」はレッドツェッペリンの曲名でもあるけれど、どうしてこんな邦題を付けてしまうのかな? 日本人の英語力や知識を低く見積もるような日本の映画業界の体質は好きじゃない。