きんゐかうし卿

モスキートのきんゐかうし卿のネタバレレビュー・内容・結末

モスキート(1994年製作の映画)
2.8

このレビューはネタバレを含みます

 


『今となっては味わい深い巨大化した蚊の描写』

以前観た記憶はあるが、自宅にて再鑑賞。日本劇場未公開作で原題"Mosquito"。落下したエイリアンの血を吸った蚊が巨大化し、キャンプ場を襲う一部でカルト的な人気を誇るモンスター・パニック。この蚊は自然保護観察官の新人“メグ(ミーガン)”のR.ロイセルにエイディーズ・エジプタイ──ヤブ蚊(ネッタイシマカ)で、ごく一般的な蚊であると劇中で説明させている。グロ描写はあるにはあるが、コミカルで眼を覆う迄もない。今となってはローテクを駆使した描写が味わい深く、特に巨大な蚊との格闘や襲撃シーンは見所の一つ。55/100点。

・常に逃げ腰で問題解決に消極的に見えるT.ラヴレースの“レイ”はこのテのには珍しいキャラクターに映った。嫌味っぽくダメダメな筈が、突如リーダーシップを発揮したりするR.アシュトン演じる自然公園の職員“ヘンドリックス”が顕著であるが、矢鱈に揉め事が多い登場人物達には終始、キャラクターが定まっていない印象を受けた。クリーチャーの造型は抜群の存在感とアナログ故の魅力に満ちたシーンが多く、何度も登場するグチャッと体液を飛ばし潰れる様が特にお気に入りであった。翅音を思わせるBGMも印象に残った。

・技術面や資金面を始め様々な事情で実現出来ず、それらを上回るモチベーションで完成に漕ぎ着けた印象を受ける作品群が存在する。後半、しきりに隕石を持ち出すが、落ちたUFOはどうなったのかとか、臨場感に欠けるわざとらしい擬斗等、他にも妙な描写やプロットホール、矛盾箇所等、挙げ出せば余りあるが、本作の場合も正に完成への情熱がそれらを上回った様な印象を受け、バカバカしくはあっても嫌いにはなれない。

・籠城する屋敷内で銀行強盗の主犯核である“アール”のG.ハンセンがチェーンソウを手にした際、「20年ぶりだ」との科白があるのは、彼が『悪魔のいけにえ('74)』にて“レザーフェイス”を演じていたからである。

・冒頭でUFOの墜落を目撃する老夫婦、“ジョーンズ”のH.ブルソー・ジュニアは監督の叔父であり、“ジョーンズ”夫人のP.K.ジョーンズは監督の母親である。亦、物語の中盤に舞台となる"Paddy Wagon"と書かれたキャンピングカーは彼女の私物であると云う。

・終盤に逃げ込む屋敷内のプレーヤーに置かれていたレコードは「ピーター、ポール&マリー PPM スーパーベスト 原題:"10 Years Together"('70)」である。

・鑑賞日:2019年2月17日(日)