「汚れた顔の天使」(1938)「カサブランカ」(1942)のマイケル・カーティス監督による女性ヒューマン・ミステリー。ジョーン・クロフォードがアカデミー主演女優賞受賞。別邦題「深夜の銃声・偽りの結婚」。
夜のビーチ・ハウスに銃声が響き男が「ミルドレッド」と言い残して倒れる。死んだのはミルドレッド・ピアース（クロフォード）の夫モンティだった。警察に呼び出された彼女は刑事に自分の半生を語り始める。それは二人の娘に捧げた人生だった。。。
大変面白く見応えがあった。映像はフィルム・ノワール的で、・演出はミステリー、そして内容はシングルマザーの社会的自立を描いた先駆作だったと思う。母娘のメロドラマとしては、戦前に作られた「ステラ・ダラス」（1937）と対称的な作品と言える（本作の主役は当初はバーバラ・スタンウィックが予定されていたとの事）。窓ガラス越しの母娘、対面した方に不幸が待つ皮肉。第二次世界大戦を挟んで母娘の在り方やライフスタイルが、映画的にも社会的にもどのように変化したかの検証材料としても興味深い。
内容に反道徳な部分があるためか、戦後日本では占領軍が上映させなかったとのこと。日本公開が近年のなので意外に知られていない作品で、正に知られざる傑作だと思う。
