K

シルバー・グローブ/銀の惑星のKのレビュー・感想・評価

-
丸一日観てた気がする。でも自分の好みに合わない映画を引いてしまった時の苦行としての長さは感じなかった。登場人物が狂騒的に喚き散らすし訳の分からない高尚なことをのたまいまくるというザ・苦手な作風なのに。ひとえにロケーションとコスチュームとメイク、つまりビジュアルが良過ぎたのが恐らくは理由。廃墟のような建築物と水が印象に残る自然の使い方にはタルコフスキーを、血と詩の扱いに関してはホドロフスキーを連想したけど、どちらと比べてもこの人は、というかこの映画は変だった。検閲によって五分の一(と言っていたと思う)が失われたのを補うためにナレーションと意味ありげではあるけど実質無意味なのは分かりきっている映像で繋いでいるパートが存在するのが特に変な点。だけどむしろあれはあんな形になってしまっているからこそよりカルト性が高まっていて良いようにも思える。役者陣への仕打ちも凄まじくて慄いた。鳥人間の格好で海に入ってるところとか最後の方の海岸に打ち立てられたクソ長い棒に裸で刺されてるところとか普通に死ぬやつじゃんこれ、と思ってハラハラした。どうやって撮影したんだあれ。セリフの量と難解さも異常だから、台本の暗記でもまた別の死ぬ思いしたんじゃないかと思うし。釈然とはしないのに妙な満足感がある。こういう映画があっても良いよな、と。
K

K