マヒロ

シルバー・グローブ/銀の惑星のマヒロのレビュー・感想・評価

3.0
新天地を求めてある惑星にやってきた宇宙飛行士の一行だったが、全く異なる環境に翻弄されながらも徐々に適応していき、子孫を残すまでになるが…というお話。

映画は大きく2パートに分かれていて、あらすじの宇宙飛行士たちのパートと、後半彼らが残した映像から再びその惑星に向かう男の話になっている。

面白いのが、前半は記録映像という体なので宇宙飛行士達のヘルメットに付けられたカメラの視点が続き、後世のPOV作品のような形になっているところ。過剰なまでに鈍い銀色に塗りつぶされた画面の異様さも含めて、かなり鮮烈な印象を残す。これは後半もそうなんだけど、登場人物たちが皆カメラに向かって哲学的なセリフを延々吐き続けるというシーンがやたら多く、そこはやや辟易。映像のパワーが凄いので凄いもったいなく感じた。

第二幕は前述の通り新たな主人公が出てくるんだけど、ここで問題が。
この映画、当時内容が挑戦的すぎるとかで大部分を破棄する羽目になったらしく、160分もあるのに全体の1/5しか残っていないとか。その失われた部分をどうしているかというと、何故か現代のポーランド市街をゲリラ撮影したらしい映像をバックにナレーションで見られないところを説明するのみという超力技。どうしても完成させたいという熱量は分かるけど、余りにも多くの部分が失われてしまっているため、どうしてもぶつ切り感が出てしまう。
故に、さっきまで普通にしていた人がナレーション明けに瀕死になっていたりするし、第二幕の主人公も登場シーンから丸々存在しないので最初誰だか分からない。
再作成に取り掛かることが出来たのが撮影から10年近く経過してからで、役者たちも歳をとって再撮影するにも統合性がとれないという事情があったみたいだけど(ということまできっちりナレーションで解説してくれる)、映画としてのドライブ感は完全に失われてしまっているんだよなぁ。

もう劇映画にせず、撮影中の裏話とかを前面に押し出して『ホドロフスキーのDUNE』みたいにしても面白かったんじゃないかな…と思った。映像素材がないのにめちゃくちゃ面白い『DUNE』が凄すぎるのでハードルは高いが…。

(2018.28)
マヒロ

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