死霊館のrollin

シルバー・グローブ/銀の惑星の死霊館のrollinのレビュー・感想・評価

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完成するのに10年かかった挙句、素材が無くなったのでその部分は口で説明しますね!という哀しすぎる口上で始まるいわくつきのSF事故物件。
ホドロフスキー、タルコフスキーの系譜に連なる、“スキー系監督”の大物、アンジェイ・ズラウスキーの登場だ!

物語は旧約〜新約聖書のSFパロディで、最初に惑星に降り立った宇宙飛行士たちが原初の神、そして数百年後に新たにやって来た地球人が予言されたキリストという設定。言い換えれば神目線の生命創造シュミレーションであり、それを放ったらかして久しぶりに電源入れたら変な奴らがめちゃくちゃ繁殖してた!というお話。

全体的な印象からお伝えすると、ベルイマンとヘルツォークと塚本晋也監督を足して全部ぶち崩しました!という感じ。
役者たちは全員カメラ目線で、ヒステリックに即興のポエムを叫び始める。その内容は敬虔なビジュアル系ミュージシャンの如く支離滅裂で、真面目に捉えれば前半はカソリック的な告解、後半は共産思想の内省的、自己言及的なドキュメンタリーと言えなくもないけど、そもそも本作はポンヌフとは違って明らかに完成品ではないので、この映画を他のSFや前衛作品と同列で評価する気にはならへんし、それはズルい。

ただね、こうまでしてこの映画を世に出したかったのは物凄くよく分かる。
サイバー・パンクブームの到来を予感させるヘヴィ・メタルなガジェットや、東欧のアシッド・バロック建築物。敵対する民族はベムスターみたいやし、惑星ナブーの民やヌート・ガンレイを想起させる衣装等、とにかくビジュアルイメージが鮮烈&強烈。
それに加え上述した役者たちの全力ヒステリック演技が延々と画面に叩きつけられるもんで、この映画、ただじゃあ転ばん謎の求心力がずっと保持されているのでがんす。

前半に顕著である小刻みなジャンプカットによって役者たちは自らの呼吸を奪われ、さらに青を基調にカラーバランスが取られていることで、本作は無機質な呪術的グルーヴを生み出しているし、その青は緑の炎をも創り出す。ゴルゴダの浜辺や暗黒結社ゴルゴムの秘密基地みたいなロケと画作りもすげぇカッコいい。

そして一番の問題はやはり失われた素材の部分。監督自身による読み聞かせはともかく、そこに87年当時のポーランドの街中映像をインサートしておるのじゃ!と言ったらおしゃれな感じに聞こえるけど、この映像がマジでちょっとコンビニ行くついでに撮ってくるわ!みたいなクオリティ。エスカレーターで降りてくる人々が宙空の同じ一点を見つめているカットはめちゃ良かったけど、せっかくやるなら最後までこだわって欲しかった。あの映像まで斜め読みして意味付け出来る人はもう好きにしてください。
でも最後の鋼鉄ジーグみたいな終わり方はそんなに嫌いじゃないぞ☆