タイレンジャー

シルバー・グローブ/銀の惑星のタイレンジャーのレビュー・感想・評価

4.5
こりゃあプログレ映画ですね。

プログレとはピンクフロイド、イエス、キングクリムゾンなどの前衛的で長大な作風のバンドを指すロック用語ですが、映画にもプログレという概念があるなら、本作のような作品のことでしょうね。

タルコフスキー「ストーカー」、ホドロフスキー「エル・トポ」、リンチ「デューン/砂の惑星」あたりにも通ずると言うともっと伝わりやすいでしょーか。

はっきり言って物語は全然理解できません。共産主義下にあった当時のポーランド政府による妨害の為、フィルムの2割が抜け落ちているので、どうしても話の流れは理解しにくくなっています。
また、登場人物たちの台詞は何やら哲学めいたことをわめき散らしているのが延々と続きます。タルコフスキー映画をヒステリックにした感じとも言えるでしょう。
たぶん、全フィルムが再現されても難解なこなとに変わりはない気が…。

アンジェイ・ズラウスキー監督作品は「ポゼッション」(1981)が死ぬほど好きなんですが、本作を観た後だと「ポゼッション」ですら単純明快な映画のように思えてきます。
いや、もちろん「ポゼッション」のほうが分かりやすい難解さで好ましいんですが。

しかし、本作を作り上げる途方も無い狂気が画面の隅々まで充満しているのは確かです。観ている間、ずっと唖然としてしまうような狂信的なパワーに満ち溢れた映画です。

難しいよぉ、観るのがしんどいよぉ、でも尋常じゃないものが映ってるから見入っちゃうんだよぉ…
というのが僕にとってのプログレ映画です。