妖精が作るエッグベネディクトはどんな味なんだろう。
少女時代のエル・ファニングは妖精だったらしい。透明感がありすぎて、いつか本当に透けて見えなくなっちゃいそうなほど眩い。
そんな彼女が自堕落な生活を送っていたハリウッドスターの父と過ごしたひと夏。
セレブの生活をあたかも普通っぽく描けるのはさすがのソフィア・コッポラ。
彼女の幼少時代の思い出から着想を得た作品らしい、納得。
ワンカットが無駄に長いのに初めは戸惑うけど、これが父の虚無感の表れであり、慣れてくると夏の気怠さのようにも感じ、プールにたゆたうような感覚で心地よくなってくる。
骨折したり突然娘とふたりきりになったり、自由がきかず立ち止まったとき、新しい風が吹くこともある。
娘の無垢な笑い声が父の心に響いたからこそ、その中身が空っぽだったことに気づくように。
ラストの父の表情がよかったなぁ。
でも夜中に、
娘:お腹減ったなぁ…
父:じゃあ全部の味2個ずつ!
とルームサービスで大量のアイスを頼んでベッドで一緒に食べてくれる父は最高なので、そんなにくよくよしなくても大丈夫だよ、パパ!