人気俳優のジョニー・マルコ(スティーヴン・ドーフ)は妻子と別居中で気ままなホテル暮らし。
久しぶりに娘(エル・ファニング)を預かることになり、親子水入らずの生活を楽しむのだが…。
ため息が出ちゃう。
ジョニーの生活は我々とは程遠い。
フェラーリを乗り回し、プール付きのリゾートで豪遊、好きなものを食べ、パートナーも選び放題、夜はパーティざんまい。
でも、娘と一緒にいる時間以外は、あんまり楽しそうじゃない。
表情はうつろ、ボーッと外の風景を眺めている姿が目立つ。
いい気なもんだ&自業自得、の感もあるジョニーの生活だけど、そのどこか別の場所での自由を求める気持は、生活レベルのまったく異なる我々観客でも共感できる。
ジョニーと同じく、世界的なセレブである作者(監督・脚本のソフィア・コッポラ)による説得力のある描写、たしかな演出力。
フェラーリに乗ったジョニーが、同じ所をグルグルと周回するシーンから映画は始まり、彼がクルマから降りるシーンで終わる。
最後まで答えの見つからないジョニーだけど、中盤まで拘束されていた左腕のギブスがとれたこともあって、終幕では解放された空気が漂う。さわやかで余韻の残るエンディング。
ソフィア・コッポラ版の『甘い生活』てな趣きもあり。