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マイ・サマー・オブ・ラブの一のレビュー・感想・評価

マイ・サマー・オブ・ラブ(2004年製作の映画)
3.5
『イーダ』『COLD WAR あの歌、2つの心』のパヴェウ・パヴリコフスキ監督作品

2004年の英国アカデミー作品賞受賞作

イギリス北部ヨークシャーの田舎町を舞台に、2人の少女の危うい関係をつづった青春ドラマ

思ってた感じとは全然違ったけど、これはこれで面白かった

神に囚われた兄を持つ少女と、姉を病気で亡くした哀しみを抱える少女が、家族で悩む仲間として急激に惹かれ合い、心の傷を癒やすような甘酸っぱいひと夏の出来事を、アンニュイな空気感で捉える

出世作である『プラダを着た悪魔』よりも前のエミリー・ブラント初主演作ですが、全く初々しさを感じないどころか堂々たるもので、ラブシーンなんかもめちゃくちゃ熟れてるから凄い
当時24歳のナタリー・プレスも、この土地にいる十代の田舎のやんちゃガールにしか見えないくらい自然な佇まい

この主演の二人が凜とした美人で映える上に、手持ちカメラのブレブレなカメラワークや、クローズアップがやたらと多く、生々しい臨場感を作るのに効果的に作用してくれる
情感豊かな田舎の風景も良かった

肖像を描くシーンはハッとしたし、信仰を皮肉るようなシーンも抜群に上手い
途中までは同性愛チックですが、結果的にはひとつのジャンルに収まらない面白い作品だった

スッキリするどころか割と残酷な上に、90分弱しかないので消化不良気味な部分もなくはないですが、パヴリコフスキ監督の映像の美しさはこの時から健在で一安心
美しくエキゾチックな二人を見られるだけでも観る価値は大いにあるかと

〈 Rotten Tomatoes 🍅90% 🍿69% 〉
〈 IMDb 6.7 / Metascore 82 / Letterboxd 3.2 〉

2021 自宅鑑賞 No.293 GEO
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