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雨にぬれた舗道のCHEBUNBUNのレビュー・感想・評価

雨にぬれた舗道(1969年製作の映画)
3.0
【女は濡れた男を持ち帰った】
角川シネマ有楽町で開催されているロバート・アルトマン傑作選で『雨にぬれた舗道』が上映されていたので観に行った。ロバート・アルトマンといえば『プレタポルテ』や『ゴスフォード・パーク』などから群像劇作家のイメージが強いが、異色サスペンス映画も手がけることを本上映で再確認した。

本作は異色家侵入ものとなっている。家侵入ものは一般的に招かれざる客が家に入り、平穏を乱す。しかし、本作は30代独身女性が心の穴を埋めるかのようにずぶ濡れの男を家へと招き入れる。そして、その男の気を惹こうとするのだ。しかし、彼は無口で応じない。イングマール・ベルイマン『仮面/ペルソナ』のように彼女は、彼に語りかけ続ける。一方、彼女は男から全くアプローチされないというわけではない。おじさんから迫られるのだが、そのアプローチはやんわりとかわしていくのだ。女と無口の男の裏返しの関係が外では展開されていく。奇妙な関係性の中、無口な男による侵入が始まる訳だが、そこに図々しい女が参加してきて修羅場が発生していく。心の隙間を埋めたいが自分にとって都合の悪い存在はスルーしたい。そんな心理を束ねていくような作品でとっつきにくかったものの興味深い一本となった。
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