mimitakoyaki

渇きのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

渇き(2009年製作の映画)
3.8
パクチャヌク作品を。
うーん、変わった作品でした。
変態性は堅持!笑

祈りを捧げるも誰も救えない事に無力感に苛まれた神父が、ヤバい感染症のワクチン開発のための人体実験に志願。
ウイルス感染で死んだと思いきや、輸血によって蘇生するのですが、ヴァンパイアになってしまい、さらに知人の妻に惹かれて欲望と信仰の間で葛藤します。

真面目な男性主人公が、虐げられたミステリアスな既婚女性にどうしようもなく惹かれ、自分の職業的立場と許されない恋愛感情間で揺れ動きながらも、ズルズルと自分を見失って逸脱していく、って話なんですが、これって「別れる決心」やん!と思いました。

本作の方は、エログロ激しめのヴァンパイア映画なので、「別れる決心」とは全く趣が違いますが、話の骨組みはすごく共通していて、パクチャヌク監督はこういうテーマがお好きなのかなと思いました。

何せ純粋で真面目な神父なので、人の生き血を求めるヴァンパイアとなれば、自分が生き続けること自体が倫理に反してるわけですから葛藤するのですが、人を襲わずに植物状態の人から血を分けてもらうだけなら…、自殺志願者なら…などと都合良く自分の一線を緩めていったり、欲望や快楽に逆らえず人妻との関係に溺れたりと、どんどん聖職とは真逆の方に行ってしまう、だけど最後まで善人であろうとする人間臭さが描かれていました。

信仰で人を救うどころか、そうした生き方を望んできたはずなのに、気付けば自分も人も救えず、むしろ物事がどんどん悪い方へ転がり破滅に向かっていくなんてのは、信仰への懐疑なんでしょうかね。

主人公の神父はソンガンホで、パクチャヌク作品では「JSA」「復讐者に憐れみを」「親切なクムジャさん」に続いてシンハギュンと共演してます。
珍しくおじさんぽくない若めのソンガンホを見ることができます。

神父が惹かれる人妻にはキムオクビンで、はじめの印象とどんどん変わっていってましたが、かなりの体を張った演技に驚かされました。
同じくパクチャヌク作品の「お嬢さん」で、今では大スターのキムミニやキムテリがかなりの濡れ場を演じていましたが、今となっては考えられないですよね。

シンハギュンやオダルスも出ていますが、キムヘスクさんの快演がなかなか!
ほんとにいろんな役やってますよね。
中盤以降のあの顔をキープするの、かなりキツかったんじゃないでしょうか。
あの雰囲気、キムヘスクさんやっぱりスゴイです!

パクチャヌクの昔の作品でしたが、最新作の「別れる決心」との類似もいろいろ発見できたのが楽しかったです。
また歌謡曲使ってましたしね。

キムヘスク 19作目
オダルス 18作目
ソンヨンチャン 12作目
ラミラン 17作目

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