韓国映画界随一の映像製作家、パク・チャヌク監督の本作は、ひょんな事からヴァンパイアになってしまったカソリック神父の物語。
だが、本作はホラーでは無い。
禁欲的で信仰に一途な主人公が、自らの内面の『生』と『性』の狭間で葛藤する、シュールでコミカルな異色のラブストーリーの位置付けとなっている。
監督が監督だけに、生温い作品では無い事は確かだ。
倒錯した人間のギリギリの壊れ方。
陰惨でシリアスなストーリー展開なのだが
何故かコミカルに描かれている。
通常(?)ヴァンパイアといえば、貴族的な2枚目なのだが、本作でヴァンパイアを演じるのは 庶民派のソン・ガンホである。
名作【グエムル 漢江の怪物】でダメ親父を演じた俳優だ。
そのイメージを覆すかの様に、ラストに向けてカッコよく見えてくる。
幼馴染の虐げられた妻、テジュを演じるのは若手のキム・オクビン。
ソン・ガンホとキム・オクビン。
この2人のキャスティングが実にベストな組み合わせだった。
惜しむらくは、本作品 パク・チャヌク作品としては、やや薄味だったところか。
ある程度ストーリーが進んだところで、凄まじいしーんがあり、そこでラストを迎えれば綺麗な終わり方であったが、そこがまだ中盤だと解り 若干長くグダグダさを感じたが、それぞれのシーンに手が込んでいて
完璧に退屈だと思うところは無かった。
好き嫌い分かれそうな作品だが、
【オールド・ボーイ】が好きな方には
是非こちらも鑑賞してもらいたい作品。