き

渇きのきのネタバレレビュー・内容・結末

渇き(2009年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

まさかのバンパイアもの。
前知識なしで観たので驚きましたが、
映画全体としてはさながらチャヌクデパートとでも言いましょうか…とにかくチャヌク監督の好きな要素を詰め込んだ!という感じで観ていてとても楽しかったです。
ありとあらゆる官能的表現のオンパレード。
その為いくつかの映画を切り貼りしたかのような作風というか、正直冷静に観たら滅茶苦茶に見えてしまうかもしれない。
でも観ている最中は夢中で観てしまうんですよね、チャヌク監督の作り上げる世界の吸引力が毎度ながら半端じゃない。

主人公の抑圧された欲求が皮肉にも人の役に立ちたいと思って受けた実験の結果、受けた輸血が原因で起きた感染症によって解き放たれ、これまた皮肉ながらその感染症によって人を殺すようになっていく。
ヒロインも主人公も現実への《渇き》を抱えていたので、2人でいる時だけが潤いを与えてくれる。だからバンパイアになった後も離れられず…
彼らの単にラブラブなカップルではないところが、なんとも絶妙で素敵ですね。

ラストの海が赤いのは、生命の象徴=彼らにとっては血、という事の比喩なんでしょうか。
などなど、いろんなシーンの演出、色彩について飽かず語れそうなところがやはりチャヌク作品はいい。面白いです。
き