シュトルム凸映画鑑賞記録用改め

恋のロンドン狂騒曲のシュトルム凸映画鑑賞記録用改めのレビュー・感想・評価

恋のロンドン狂騒曲(2010年製作の映画)
3.5
ウディ・アレン、視聴33本め、かな?
なかなか動画配信サービスに乗っかってこない、本作。TSUTAYAで借りちゃいました。
御大の作品にしてはちょっとアベレージよりは下かな?
すごく既視感があるんですよ。たぶん「夫たち、妻たち」と話の大筋は同じ(笑)
売れない一発屋の既婚作家が、ヒッチコックの「裏窓」みたいに窓越しに向こう側のアパートのインド系女性を見初める。その妻ナオミ・ワッツは職場の上司アントニオ・バンデラスにダブル不倫覚悟の片想い。その母ジェマ・ジョーンズ(お婆ちゃまだけど、カワイイ!)はオカルトにハマり、夫(なんとアンソニー・ホプキンス)は若い娼婦にうつつを抜かし…
そして売れない作家の起死回生を狙った、アイタタタな犯罪行為。やるんじゃないかな?と思ってた通りのことをやりやがる(笑) で、この顛末がなかなか面白い。「マッチポイント」みたいに思い切った行動に出なかったのが救いですが、それでも相当アイロニカルでブラックな幕切れ。
既婚者たちの、裏窓を透かして相手に勝手に理想を仮託するような「幻想」ばかりの恋愛模様、つい「その幻想をぶち殺す! 」とそげぶしてしまいたくなるが、そんな「幻想」も時には、「薬よりも役立つことがある」というエピローグ。「幻想」だとしても、相手に不純なものを求めず、「誠意」だけを求めていた人だけが幸せをつかむ。そんな結末も、やっぱり「夫たち、妻たち」と同じかな。
降霊会の下りからは、4年後の御大作品「マジック・イン・ムーンライト」も連想した。あっちの方がギミックの使い方はもちろん上手い。御大の自己アップデートだね。

追記 何か書き忘れたと思ってたが思い出したので書いておく。来世への生まれ変わりを信じれば、今生で苦しくても生きていけるという感覚。オカルトではあるだろうけど、理解できる気がする。そして、大好きな作家北村薫の言葉を思い出した。「小説が書かれ読まれるのは、人生がただ一度であることへの抗議からだと思います」私は生まれ変わりを信じるのではなく、もう一つの人生を体験させてくれる小説や映画を楽しもう。