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肉体の悪魔のしのレビュー・感想・評価

肉体の悪魔(1986年製作の映画)
4.0
狂気と性衝動に取り憑かれた女、愛と涙による浄化。冒頭にて黒人女の示す狂気はジュリアの共感の涙を呼び、見つめるアンドレアはその姿に恋をする。公判中に檻の中でセックスを始めるテロリストのカップルが印象的ですね。政治的転向の拒否。デートメルス演じるジュリアの叫ぶ「最後までやらせてやれ!」。ジュリアとアンドレアは肉欲に溺れ、政治的転向(狂気からの離脱)をしたテロリストのジュリアの婚約者を置いていく。狂気のメタファーとして配置される屋根、ロープ、月。しかし、アンドレアはその全てを狂気に身を投じることなく、高校の最後の口頭試験で理性を見せ、ジュリアの涙を呼ぶ(両者の狂気からの開放)。女の肉体に潜む悪魔はの愛と理性によってのみ去るだろう。

デートメルスによる怪演が光を放つ。高笑いがやはり印象的。崖の縁に立っているような緊張感を終始作り出している。いやまさか本当にフェラチオしてるなんて。。。

良くできているんですけど、狂気についての映画なのに少しまとまり過ぎていたかなという印象。ただベロッキオによる原作の要素の抽出、舞台をイタリアへ置き換え、新たな要素を盛り込み語らせるその手法の鮮やかさには感服する。
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