安堵霊タラコフスキー

肉体の悪魔の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

肉体の悪魔(1986年製作の映画)
3.5
ラディゲの不朽の名作をより性的描写を強めマルコ・ベロッキオが映画化した、精神病を患う女と彼女に狂う青年の話

冒頭、教室の外で起こった事件を見て教室を華麗に飛び出し、その先で会合する女性と恋愛が始まる様は、安寧とした勉学の世界からの脱却みたいなものを視覚的によく表せていた

そしてその一連のシークエンスであった裁判の席で当事者の一人にもかかわらず性行為に及ぶカップルの姿も、思えばとにかく情事に耽りまくる作品を象徴するものがあって中々鮮烈

頻出する人物の顔の意味深で雄弁なアップも特徴的で、特に冒頭と対比的になっているラストのヒロインの表情は文学的な趣きすら感じられるもので締めに相応しいものだった

でも個人的にはこれまた序盤にあった、主人公の父親がファムファタールの幻影に苛まれるシーンが印象的で、そんな異性に悩まされる堅物学者の話でも面白かったんじゃないかと途中思った