原題が『TROUBLE WITH THE CURVE WHATEVER LIFE THROWS AT YOU』とあって、自分なりに直訳すると、『誰もが人生の曲がり角で直面する困難』とでも訳したらいいのか…。それを『人生の特等席』としている。素晴らしい邦題だと思う。映画を見終わって、その原題と邦題との意味を考えると、一層この作品が味わい深く感じられる。
昔気質の仕事一筋の不器用な父と娘の和解の物語。そんな設定はクリント・イーストウッドの作品には多い気もする。そして、こういう設定は私世代の日本人好みで、彼のこの手の作品が日米を問わず受け入れられるということに、どこかホッとしてしまう。
本作は、彼の数多い派手な名作に比べると、地味な印象を受けるが、設定自体は決して一般的でなく、むしろ非凡である。
父は腕利きの大リーグの一流スカウトマンだし、娘は若くして一流法律事務所のパートナーに推薦されるようなキャリアウーマンである。本来ならスゴすぎて、共感を持てないはずが、2人の庶民的で気取りのない人柄がそれを避けてくれている。
父が最低だと卑下していた日常の光景が、娘にとっては…。
なんか、ほんのりジワリときた。