緑雨

のぼうの城の緑雨のレビュー・感想・評価

のぼうの城(2012年製作の映画)
3.8
冒頭の高松城水攻めから市川秀吉の怪演で掴みばっちり。佐藤浩市が馬で城下の田園を駆け回り地勢を知らしめる。それが後段の城攻め合戦の状況描写に生きてくる。

城に乗り込んでくる敵方大将格との交渉場面が最高に面白い。野村萬斎の本領発揮。それを受ける上地・山田・平の敵方も魅力的に見えてくる。佐藤・成宮・山口ら成田方のキャストも悪くない。榮倉奈々の棒読み調もやや浮世離れした姫のキャラクタには加勢している。鈴木保奈美にもうちょい見せ場を。

地勢を念入りに描いているだけに、田楽踊りの件りには白けた。あの距離感で踊ったところで敵方味方に影響を与えるのはあまりに無理筋。映画なんてすべからく「嘘」を楽しむ娯楽ではあることは重々承知だが、その域を踏み越えてしまっているように感じる。
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