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マリー・アントワネットに別れをつげてのKUBOのレビュー・感想・評価

3.5
劇場公開時以来2度目の鑑賞。5年ぶりとなるのだが、たった5年で見方、感じ方がずいぶんと違って感じる。これも、この5年間で蓄積した映画鑑賞体験によるものかな?

ヴェルサイユ陥落前の数日間を描いているが、主人公は「マリー・アントワネット」ではなく、その「朗読係」を務める侍女。「マリー・アントワネット」を盲目的に崇拝する「朗読係」のラボルドの目を通して描かれており、歴史を俯瞰した作品ではない。

王妃を取り巻く宮廷内の人間関係や、侍女たちの噂話、王妃マリー・アントワネットとポリニャック公爵夫人との恋など、ラボルドが目に、耳にすることが浮き彫りにしていくのは、マリー・アントワネットの孤独。

衣装も美術もたいへん豪華絢爛だが、フランス王家を滅亡に追いやった「退廃」でもある。ポーランドとフランスの同盟関係のために、ハプスブルク家から母マリア・テレジアによる政略結婚でフランス王妃となったマリー・アントワネット。孤独を紛らわせる浪費の果てに、全ての人が彼女の元を去っていく。

朗読係のラボルドにレア・セドゥ、マリー・アントワネットにダイアン・クルーガー。ヴェルサイユを去るラボルドの胸の内が、あまりに哀しく胸を打つ。
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