Koshii

砂漠でサーモン・フィッシングのKoshiiのレビュー・感想・評価

3.6
タイトルが面白そうっ!

「砂漠でサーモン・フィッシング」

砂漠でどうやってサーモンを釣るんだろう、そもそも釣りができるような水場があるのか??
いや、まず何で砂漠で釣りをする必要があるんだ!?

と、頭の中の疑問が作品への好奇心に変わり、ワクワクしながら鑑賞スタート!

ほうほう、なるほど、、、
そうくるのね!!

以下、ネタバレを含みます!















まず、テーマが面白い。惹きつけるタイトルだし、こんな突拍子の無いプロジェクトの行く末は誰しもが気になることだろう。

そんな期待は、半分は満たされたと言える。非現実的とはいえ、『理論上は可能』であり、プロジェクトが時に難航しながらも、成功に向かっていく。その描写も丁寧で、鮭(本作の主人公)の映像はダイナミックで自然ドキュメンタリーのよう。

政治的問題にも軽く触れ、動機としてはやや弱いものの体裁は悪くない。

ただ、本作の描きたかったテーマは恋愛であり、それを魅せるために選ばれた舞台が「砂漠でサーモン・フィッシング」だったという、それだけ。
仕事の関係でしかなかった二人は、前に進めない恋愛にもどかしさを感じ、それが共通項になるという少し危ない展開に。大尉の存在が、本作の賛否を生みそうなのだが、私個人としてはアリだと思った。ハリエットとロバートの関係はまだ本質を見極め合えていないように見えたし、何よりもハリエットはこのプロジェクト自体に恋をしていたような気がしたのだ。

だからこそ、親身になってこのプロジェクトを成功させたいと思うフレッドの誘いは魅力的だったのだろう。


という訳で、勝手にプロジェクトがメインで色恋少々というバランスを期待していた自分にとっては、そうきたか、という具合ではあった。

しかし、展開としてはダレることなく、終わり方も好みだったので満足している。


一点だけ気になったところがあるのだが、場面の切り替えや、そのシーンの意味を音楽に頼りすぎていた印象を受けた。シリアスかジョークかどっちだろう?という思考に、会話劇や演者の表情からは読み取りづらく、あからさまなBGMが、「こっちだよ!」と伝えてしまっていたことが残念だった。あくまでも、音楽は「効果的に」使用されるものであり、その点が惜しかった。

p.s. フレッドのユーモアのセンスめっちゃ好きよ!!
Koshii

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